ヤニカスおじさんの生態

ヤニカスの汚いおじさんが与太話を書きます。

ヤニカスが石を投げられない喫茶店③

 ヤニくさいヤニくさいっておっしゃいますけど、汚いおじさんが臭いのは人類誕生以来、変わらない普遍的事実な訳でして。
 紫式部さんとかも随筆で「おじさんいとくさし ヤニくさし」みたいなこと書かれてるんじゃないですかね?
 よく知らないですけど。

 まあ体臭で臭いのとヤニくさいの、どっちがマシかって話ですよ。
 何? どっちもくさいから止めろですって?
 おじさんから臭い部分を消去したら、おじさんという存在が消滅するんです!
 アナタ、おじさんに死ねと言うんですかッ?!
 え? 香水とかを使え?
 イケオジの方ならともかく、汚いおじさんからフローラルなバラの香りとかしたら、そっちのがキモくないですか?
 だからこそ汚いおじさんにはヤニの香りがよく似合うんですよ!

 
 ということで、今回も全席喫煙okな喫茶店を紹介しますね。
 
③大井町 ポットリー

 大井町駅から徒歩2〜3分でしょうか。
 線路沿いの道をちょっと入った所にある喫茶店です。
 入るなり、カウンターの後ろに並ぶティーセットに圧倒されます。
 食器には全く造詣が深くないおじさんにも、凄い食器なんだろうなというのがビンビンに伝わって来ます。
 ……コペ、こぺんはーげん?とかいうヤツじゃないですかね。
 他のお高い食器の名前とか知らないのでテキトーに書いてますが多分凄いやつです。
 店内はそんなに広くないですが、シックな感じのお洒落空間となっております。
 そして入口脇にピンクの公衆電話が鎮座。
 歴史という格の違いを見せ付けられた感じがします。

 圧倒されたまま着席すると、妙齢のマダムがお冷やとお皿に載った熱々の布おしぼりが提供されます。
 やはり布おしぼりは素晴らしい文化ですよね。
 ウッキウキでおじさん仕草(顔拭き)をしてから、さて何を頼もうかと店内を見渡しますが……あれメニューがない?
 これはジョジョのレストランよろしくマダムが客を見てメニューを決める、みたいな感じなのかしら?
 笑顔で「貴方、ふくよかだから水とサラダですわね」とか言われたら舌を噛み切って自害するしかないのですが、どうしたものか。
 ドキドキしながらメニュー下さいとマダムに伝えるとおしぼりが載ったお皿がメニューになっている、との事。
 死なずに済んだことに安堵しつつ皿を覗き込むと、そこにはメニューが!
「粋」って言葉は多分こういう時に使う単語なんでしょうね。
 バリバリ洋風の喫茶店に相応しいかは、ちょっと自信がないですがとても素敵です。
 
コーヒー:
 かなり苦めの酸味が全くないタイプで実に私好み。
 おじさんにとって人生は苦みに溢れてますから、これはもはや「人生を凝縮した一杯」と名付けてもいいのではないでしょうか。
 まあ私の人生は、そこに塩辛さが加わるのですけれども。
 このコーヒーで特筆すべきは放置しても酸っぱくなりません。 
 今まで飲んできたコーヒーは置いておくと多少なりとも酸味が出てたのですが、これは全然酸っぱくならないのですよ。
 理由が全く分からないので、とりあえずコーヒーを淹れて頂いたマダムは私の中で「コーヒーを美味しく淹れる妖精さん」という事になりました。
 そしてものすごくお高そうなコーヒーカップで提供されます。
 これ、うっかり落としたら軽く一万円くらい消し飛ぶヤツでは……
 この辺もマダムの美意識が伝わってくるポイントですね。
 
 続いて食事メニュー。
トースト:
 かなり小さめですが130円。
 ですが多分これ手造りなのではないでしょうか。
 もちろん外側カリッと中はもちもちで、とても美味。
 イチゴジャムが付いてきます。

 

ケーキ:
 おじさんの面倒くさい乙女心でケーキは頼まないのが常なのですが、ここのケーキはクリームチーズにドライフルーツを練り込んでリッツ風のクラッカーを2枚添えた独特な物。
 見た目お洒落なフレンチの前菜ぽいので、マイルール的にギリセーフ。
 ねっとりしたチーズにドライフルーツの甘さが加わって口の中が重くなるのですが、ここに苦めのブレンドコーヒーが絶妙に合います。
 コーヒー→ケーキ→コーヒーのループで無限に食べれてしまいそうな危険さが。
 ……やはりマダムはコーヒーを美味しく頂かせる妖精さんなのでは?
 疑惑は深まるばかりです。

 お洒落な店内ではゆっくりと時間が流れます。
 コーヒーと軽食で満たされた後の一服は格別でした。
 
 非常に落ち着く空間なのですが一点だけ気になるのがBGMです。
 クラシックがローテーションで流れているのですが、突然ワルキューレの騎行が流れ出すので若干ビクッとしました。
 笑顔のマダムが「朝のナパームの匂いは格別だ」とか言い出したらどうしよう、などという考えが頭を過ぎります。
 もちろんマダムはキルゴア中佐ではないので、脳にニコチンが回った私の妄想は実現しませんでしたけれども。
 というか、これだけ趣味がよいお店ですからマダムの感性が絶対に正しいのです。
 マダムが時間を掛けて練り上げたであろう美意識の一端に触れ、汚いおじさんの薄汚れた心も洗われた気がします。
 
 さて、今回はこんな感じで終わりますね。
 今回メニューが少なめなので、かなりヤニカスの妄想が多めになってしまいましたが如何でしたでしょうか。
 石は投げないで頂けると非常に助かります。
 今回に限らず、読んだ方が紹介した店舗に行ってみたいなと思って頂けているかが正直かなり不安ではありますけど、ニコチン以前に頭のおかしいおじさんの筆力ではこれが限界なんです、許して下さい。
 また何か書いた際は読んで頂けたら、と思います。
 それでは、またどこかで。

 

[ここまではてな匿名ダイアリーから引用]

 

 冒頭のおじさんが臭いという部分に憤慨なさっている方が一定数いらっしゃいましたね。

 おじさんは私を指す言葉として使ったつもりだったのですが、伝わらなかった自分の文章力の無さに反省しきりです。

 そして随筆は清少納言じゃないか、との指摘も頂きました。

 おじさんはパッと思いつく名前が紫式部しか無かったのです。

 与太話のリアリティとしてそれっぽい方がよいに決まっていますから、ここも反省点ですね。