ヤニカスおじさんの生態

ヤニカスの汚いおじさんが与太話を書きます。

おもしろき こともなき世を おもしろく

 今週のお題は「元気を出す方法」との事ですので、折角ブログを作った事ですし参加させて頂きますね。

 

 いきなりで恐縮ではありますが、私は「闇に生まれ、闇に潜み、闇に飲まれる」という汚い牙狼みたいな生き方をしてきたおじさんです。

 遥かな古からは受け継いでいませんけれども。

 そんな社会不適合者にとって、生きる事は基本的に苦しょっぱいものです。

パワハラ? 何それおいしいの」という時代をどうにか生き延びてきましたので、叱責・御指導ご鞭撻・怒りの鉄拳などは日常茶飯事でございました。

 そんな私にとっての慰めはタバコと、学生時代の先輩から受けた教えです。

 仮にMさんとしておきますが、なんでやねん地方出身の雰囲気イケメンで、普通に生きてたら多分接点は無かったでしょう。

 でも同じ漫画が好きという点で話が合い、いつのまにか仲良くなりました。

 タバコもMさんに教えられました。

 当時、今より遥かにヒネており斜に構えるのが格好いいと思っていた私に、Mさんはいつもダメ出しをしてくれました。

 

「あった事を普通に話してどないすんの? そんなんじゃ相手がオモロないやん。話なんてもんは盛ってフカしてナンボよ。相手を楽しませない会話は商売ん時だけでええわ。盛り過ぎたら言葉の最後に『よう知らんけど』って着けといたらええ。したら、どんだけ盛っても許されるわ。……よう知らんけど」

「……テキトー過ぎませんかね?」

 

 とはいえ言っている事はもっともです。

 それから話をする時は『少しでも笑いを取る』を意識するようになりました。

 最初は全然ダメでしたが、段々と笑ってくれる人が増えていきます。

 それを心地よいと感じた私は、段々と調子に乗ってしまったのでした。

 ある時、後輩をイジって笑いを取っていたらMさんから喫煙所のツレとして呼ばれました。

 タバコを吸いながら、少し困った顔でMさんは言いました。

 

「お前のイジり方はアカンね。相手嫌がっとるやん。イジった相手が笑うくらいオモロい事を言えへんなら、才能ないわ。せやったら自分の欠点をオモロおかしく話して笑い取りぃ。お前はオノレん悪い部分を出すんは恥ずかしいと思ってるんやろけど、欠点って言うのは欠けてるって事やろ? 研いだらトガった強い武器になるんよ」

「……だから先輩は仮性で早漏っていうのを持ちネタにしてるんですか?」

「せやね。もう俺の息子ときたら恥ずかしがり屋なのに辛抱効かんくて…ってアホゥ! 誰がナニワのアイルトン=セナやねん!」

「……言ってないですけど」

「そこは『アイルトン=セナに謝って下さい』って返すトコやろ!」

 

 というような心温まるやりとりを得て、今の私は存在します。

 ……って冷静に考えたら、おじさんがヤニカスなのもテキトーな事ばっかり言ってるのもMさんの影響じゃないですか。

 謝って下さい。おじさんに土下座して謝って下さい。

 

 そんなMさんですが、美人だけど辛辣極まりないツッコミを入れる嫁を貰って地元に戻りバリバリ働いていたらしいですが、暴飲の影響か50手前でこの世を去りました。

 何も本当にアイルトン=セナにならなくても良かったでしょうに。

 

 Mさんは、私に返せない程の恩と笑いと笑顔を与えてくれました。

 その恩を返す相手はもう居ませんが彼の意思を継ぐ事は出来るはずです。

 おじさんにとって元気を出す方法は、日常の些細な事を笑いに変える事。

 私はもう独りで出来るので、こうして与太話を書き、読んだ人が少しでもクスっとして元気を取り戻してくれる事を目標にしています。

 

 おもしろき こともなき世を おもしろく

 

 高杉晋作さんの言葉ですが、これって大事な考え方だと思うんですよね。

 毎日がつまらないと嘆くより、少しでも笑える様に発想を変える。

 その方が素敵な生き方だと思うのです。